解雇には3つの形態があります。今回は「整理解雇」について解説します。
整理解雇=リストラ
整理解雇とは、いわゆる「リストラ」のことで、
企業が経営の悪化を理由に人員整理するために行う解雇のことです。
法律的には整理解雇に属します。
3種類ある解雇のうち、唯一従業員には何の責任もない解雇です。
そのため、本当に解雇する合理的な理由があるのか、
その有効性を判断するための以下の4要件を満たしている必要があります。
人員削減の必要性
会社の維持・存続のためには人員削減(整理)が必要であること。
解雇回避努力
役員報酬の削減、新規採用の抑制など整理解雇を避けるための努力を
会社が十分に尽くしていること。
解雇対象者選定の妥当性
人選基準が合理的であり、具体的な人選も合理的かつ公平であること。
競技・説明義務
労働者側と十分な協議をするなど、解雇の必要性・規模・基準等について
労働者側の納得を得るための努力を会社が尽くしていること。
整理解雇を行うまで
企業は、整理解雇を行うまでには、次のような解雇回避の努力をする必要があります。
諸経費削減に務める
↓
役員報酬をカットする
↓
残業削減・新規採用を中止する
↓
管理職手当等をカットする
↓
配置転換や出向・転籍を検討する
↓
希望退職を募る
↓
再就職先をあっせんする
↓
ここまでやっても駄目なら整理解雇を行う
参考:『解雇・退職・出向・転籍の法律相談』石井妙子著
逆に、これらの回避努力をせずに解雇通知を受けたなら、
不当解雇の可能性もあるので抗議することができます。
整理解雇(リストラ)、希望退職、早期退職制度の違い
整理解雇と似た言葉に、希望退職や早期退職制度があります。
それぞれ次のような違いがあります。
整理解雇
会社都合により従業員を解雇すること。
整理解雇を行うには、冒頭にあげた4要件を満たしていなければいけない。
希望退職
一定の募集期間を設けて退職者を募集すること。
募集期間中に予定の人数に達しない場合は、整理解雇を行うこともある。
早期退職制度
定年前に退職する従業員に対して、退職金の上乗せなど優遇措置を常設すること。
組織の活性化などを目的として設置する場合がある。